大学院入試(院試)では、数学科以外にも工学部や理学部などは数学対策をする必要があります。
本記事では、院試数学の勉強法やおすすめの問題集・参考書、具体的な活用法を徹底的に解説しています。
- 東大、京大、阪大、東北大など旧帝大や東工大、筑波大などの難関大の院試数学を受験する方
- 数学科や理学部・工学部の大学院を目指す学生
- 院試の過去問や参考書選びで悩んでいる方
- 院試に一度落ちて再受験を考えている方
- 院試の勉強を始めたばかりで、どのように進めれば良いかわからない方
数学の院試について

大学院の試験では、TOEICと当日の専門科目の試験が必須となります。TOEIC試験が終了した後や、試験が迫っている(5月頃)場合など院試の対策を始める場合には数学から大学院の試験を勉強を開始するのがおすすめです。
なぜなら、理系大学院を目指す工学部や理学部のほとんどの受験生は数学の試験を避けることはまずありません。
東大や京大、東京科学大学(旧:東京工業大学)など旧帝大系の院試では、初日の必須科目として数学になっています。さらに、2日目には専門科目の試験があり大学数学の知識が必要です。例えば、制御工学や電気回路では線形代数や微積分の知識がないと解くことができません。
したがって、効率よく試験準備を進めるためには数学を優先して勉強することが重要です。
院試数学の対策・勉強法|おすすめ問題集・参考書

院試の数学は難易度が高く、特に東大や京大など旧帝大系の大学院では、内部生であっても不合格となることがあります。そのため、焦って多くの参考書や過去問に手を出すのではなく、自分がどの分野を理解できていないのかを明確に把握する必要があります。
まず初めは講義資料やレポート課題を使って基礎固めを行いましょう。講義資料は授業内容が凝縮されており、勉強から離れていたブランクを迅速に埋めることができます。特に線形代数や微積分といった科目は1年次や2年次で履修しますが、院試が行われるのは4年次の夏です。
そのため、講義資料を使って復習を行うことで効率的にブランクを埋められます。
外部生の場合、自分の大学の講義資料は使えないと思う人もいるでしょう。しかし、院試数学の線形代数では「行列式の対角化」は頻繁に出てきます。また、旧帝大の微分方程式は「完全微分方程式」を出題しますが、旧帝大でも完全微分まで進めることが少ないです。
要するに、どこの大学でも同じレベル程度しか勉強しないので、講義資料で土台作りは非常に効果的です。
講義資料で勉強
まずは講義資料を活用して、単位取得(6割程度の理解)のレベルまで理解を深めることを目標にしてください。
講義資料は通常、教科書や参考書を15回程度の講義で凝縮されており、大学の先生が教科書の重要ポイントをまとめた資料です。外部大学院を目指す場合でも、自分の大学で使用している講義資料で十分対応できます。
実際に私は、自分の大学の講義スライドや教科書、レポート課題を徹底的に復習しました。その結果、基礎的な問題を確実に解けるようになり、院試対策の土台をしっかり作ることができました。
講義資料を中心に学習を進めることで、短期間で効率よく基礎力を固められます。
マセマシリーズ
多くの受験生が院試数学の基礎固めに使用する「マセマシリーズ」ですが、いきなりこのシリーズに取り組むのは推奨しません。
マセマシリーズは基礎から応用まで幅広くカバーしており、問題数も非常に多いためブランクを解消するための段階ではマセマのうま味を吸収しきれません。
例えば、線形代数では3次行列式から始まり、徐々に固有値や固有ベクトル、対角化と進んでいきますが、準対角化(ジョルダン標準形)へと内容が発展していきます。
私自身もブランクを抱えたままマセマを使った際、その問題量の多さと難易度に圧倒されてしまいました。理解が不十分なまま進めると途中で必ず行き詰まります。
そのため、基礎的な知識をしっかり固めてから、自分の理解度に応じて慎重に使用する必要があります。
数学科の院試でマセマは有効か?
数学科の院試でも、マセマシリーズは基礎固めに有効です。
マセマは数学の基礎から応用まで網羅されているため、数学科の学生が感じる厳密性の不足などの批判もありますが、ブランクがある学生には特に適しています。
したがって、数学科でもマセマを使って勉強を始めてもよいでしょう。
院試過去問
院試の過去問を入手したら、すぐに解こうとするのではなく、基礎が固まった後に取り組むことをお勧めします。
私も過去問を早期に始めてしまい、十分な基礎がないまま解答に苦労した経験があります。過去問に取り組むのは基礎固めが終わった後にしましょう。
ただし、どんな問題が出るか把握もせずに勉強をすることは時間を無駄にするので、解くのではなくどんな問題が出てくるのかということに着目することが良いでしょう。
大学院への数学:東大と京大数学向け
「大学院への数学」は大学院で実際に出題された問題の内、良問を集めて作成された参考書です。多くの人が院試数学にはマセマシリーズで十分だと主張しています。付け加えるなら、東大や京大の院試やTOEICがあまり高くない人であれば、本書を解いてみることもよいでしょう。
東大と京大はレベルも高いこともそうですが、何よりも倍率が他の大学よりも高いです。例えば、東北大学や大阪大学などの地方旧帝大は倍率1.2倍ほどで、多くても倍率は1.6倍ほどです。一方で、東大と京大の倍率は2倍を超えてきます。
そのため、周りと差を付けないと落ちてしまうので、数学を得点源にしたい人は「大学院への数学」がおすすめです。
ただし、非常に難解で解説も薄く挫折する学生が多いです。繰り返すように本書は「実際の院試」を集めたので、これが解けないと落ちてしまうと考えてしまいむしろ不安になるだけに終わる人も多いです。
したがって、無理に全問を解こうとせず自分が必要とする難易度の問題だけを選択して取り組むようにしましょう。
まとめ
数学の院試対策で大切なことは、工学部、理学部、数学科に限らず焦らないことです。数年ぶりに数学に触れるのであれば、まずは同じ科目の講義資料とレポート課題に取り組んでブランクを解消しましょう。
過去問を見て、解けそうにないなら「マセマシリーズ」で知識をさらに増やしてみてから過去問を解いてください。
東大や京大など数学で差を付けたい人はぜひ「大学院への数学」にも挑戦してみてください。